監督/トム・フォード
出演/コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、ニコラス・ホルト ほか
あらすじ
クリストファー・イシャーウッド原作小説をファッションデザイナーのトム・フォード初監督により映画化。16年間共に暮らしたパートナーを交通事故で亡くして8ヶ月。大学教授のジョージは、「愛する者がいない人生に意味はあるのか?」と日に日に深くなる悲しみを自らの手で終らせようと決意する。しかし、今日が人生最後の日と決めて過ごすと、世界はほんの少し違って見えた。
感想
トム・フォード監督デビュー作。
トム・フォード?!ファッションブランドの?化粧品もありますよね。
コリンに黒縁眼鏡とタイトなスーツを最初に着せたのはトム・フォードですか?2009年の映画なので、この時点で素敵な組み合わせができていた?
……。素晴らしいですね。
監督の映画を初めて観ました!なんて才能が豊かなんでしょう。多くを語らず、映像で観せてきます。洗練されていてクール。
コリン・ファース演じるジョージが悲しげで苦しそう。「大丈夫だ」と笑顔を作ってみせる様子が切なかったです。
画面の色が全体的に淡いです。白っぽいというか。
それがたまに鮮やかに映る時があります。鮮やかといっても、それが通常の色の写り具合。
ジョージの目に映ってる様をイメージしたのかなと勝手に思いました。
目には見えているけど意味を持たない、興味がない、ただの風景。鮮やかに映る時はジョージが反応を示したもの。
悲しみの中に生きている彼にも鮮やかに映るものはあります。
慰めあえる友人、心配してくれる学生。大学教授で、車があって、暖炉のあるガラス張りが美しい家があって。
けれどそこには愛する人だけがいない。
所々挿入されるジムとジョージの過去。
重くて悲しげで、どこか他者からの侵入を阻む雰囲気が観ていてザワザワするというか、なんというか。
生きるとはどういうことなんでしょうか。