映画の感想と日常風景

映画、本、漫画などの感想をメインに、日常生活や買って良かったものを紹介します

グラスホッパー

【注意】感想に映画『ブレット・トレイン』のネタバレが少し含まれています。

著者/伊坂幸太郎
出版社/角川文庫

内容

「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。
どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。
鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。
一方、自殺専門の殺し屋「鯨」、ナイフ使いの天才「蝉」も「押し屋」を追い始める。
それぞれの思惑のもとに──。
「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。
疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!

引用:グラスホッパー/Amazon

感想

www.kadokawa.co.jp
映画『ブレット・トレイン』にハマり、原作も読みたくなったので買いました。

 

主な登場人物は鈴木、鯨、蝉の3人。
章のように鈴木の話、鯨の話、蝉の話に分かれていています。章のタイトルは3人の印鑑がぽんと押されているシンプルなもので、わかりやすくておもしろいと思いました。
鈴木→鯨→蝉→鈴木…と、徐々に絡み合いながら展開していきます。文章を読みながら映像が浮かんでくるような…気持ちよく読み進めました。
鯨と蝉はコードネーム。鈴木だけがそのまま『鈴木』でいいですね〜素人っぽくて。
私は蝉が好き。

時系列は近しくも同じ時間帯ではないので多少のズレがありますが、終盤に近づくにつれだんだんと同じ時間帯になってきた時は「繋がった!」と嬉しくなりました。
時間だけでなく、独立した話にみえたものが繋がっていくのも読む楽しさがあります。
何本も線があって、線を辿っていくと実は交差していて、思わぬところまで進み、それぞれの終点に着く。なんだかあみだくじのように感じました。


ブレトレはグラスホッパーの次作『マリアビートル』の映画化で、グラスホッパーとも関係があるか気になっていました。現時点では直接は関係なさそうに思いますが、どうなることやら。

関係がある?とぼーっと考えていた時に、ふと、本作の始まりで鈴木が復讐を狙っていた寺原の長男が轢かれ、終わりでは鯨が轢かれ、誰かが車に轢かれてるなと思いました(轢く車も押し屋の仲間?走ってくる車にタイミングを合わせるのは難しそう)。

ブレトレ(というより原作のマリアビートル?未読なのでわからず)とかぶったのは、予告にも使われている冒頭のシーンと、映画の最後です。
冒頭はレディバグが歩いていると段差の先に水たまりがあり、気づかず踏み出したらスニーカーが濡れ、その先の道路を車が走り去ります。
そのまま歩いていたら危険でしたが、レディバグ本人にとっては運がわるいことでもスニーカーが濡れただけで済んだ(轢かれなかった)ように私は捉えました。
最後はレモンがプリンスを撥ね飛ばします。(みかんー!)
このシリーズでは『車』あるいは『車に轢かれる』ことが共通して出てくるのか、自然とさりげなく出てくる重要な要素なのか。気になります。

グラスホッパーは押し屋を探し出すことに始まり、押し屋に救われ?て、鈴木の話は終わります。
槿は鈴木を助けようとして押したのかはわかりませんでした。鈴木が槿の家族(だと信じていた)を本気で心配し助けようとしたことに対してのお礼だった…?


読んでいる最中のこと。
作られた話だとわかっているはずなのに現実と結びつけ、この手の事故って実際には事件だったのかな?なんて考えてしまいました。
陰謀論ではないですが、創作と現実の境が曖昧になりそうな自分の頭がキケン。

次はマリアビートル!読みます!